Winter bell
一瞬だけ頭が真っ白になって、心拍数が一気に上がったのがわかった。


まさか……


嘘に決まってるやん……


平静を失い掛けたあたしは、電話の相手を確認するように震える声で名前を呼んだ。


「山本……さん……?」


だって……


晴稀に限って……


こんなんありえへんやん……


「あれぇ?羅夢さんですかぁ?やだぁ〜!名前が表示されなかったから、わからなかったぁ〜!」


山本さんは、勝ち誇ったようにクスクスと笑い出した。


「何で……?」


声を絞り出して、やっとの思いでそれだけ訊いた。


「今、一緒にいるんですよぉ!晴稀と♪」


その言葉でとうとう頭が真っ白になって、そのまま電話を切った。


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