Night Large Snake
脱ぐわけには、いかないんだ。
長袖のYシャツを指先に引っ張って、海から目を逸らした。
生傷を海に見られて、色々問われたりするのは嫌だから。
真っ白いノートに数式を書き始める。
変な雰囲気。
広い部屋で、何故か私の後ろに座る海。
そういえば、彼女と別れたんだっけ…なんてどうでも良い事が頭に浮かぶ。
「喧嘩でもしたの?」
主語なしの私の問いに、海は不機嫌そうに「あ?」と返事をした。
「…彼女と。」
私には、関係ない話題だった。
気付くのが…遅すぎる。
「関係ねぇだろうが。」
はぁ、とため息を付きながら冷たい言葉を吐いた。