Night Large Snake

脱ぐわけには、いかないんだ。

長袖のYシャツを指先に引っ張って、海から目を逸らした。

生傷を海に見られて、色々問われたりするのは嫌だから。

真っ白いノートに数式を書き始める。

変な雰囲気。

広い部屋で、何故か私の後ろに座る海。

そういえば、彼女と別れたんだっけ…なんてどうでも良い事が頭に浮かぶ。

「喧嘩でもしたの?」

主語なしの私の問いに、海は不機嫌そうに「あ?」と返事をした。

「…彼女と。」

私には、関係ない話題だった。

気付くのが…遅すぎる。

「関係ねぇだろうが。」

はぁ、とため息を付きながら冷たい言葉を吐いた。




< 105 / 525 >

この作品をシェア

pagetop