Night Large Snake

とりあえず、校門の方に進もう。

『今から迎えに行く。』
「え!?今、どこにいるの?」
『繁華街。』

それだけ言うと、プチと電話が切れた。
繁華街からなら、わざわざ来なくても良いのに。

…でも。

海が来てくれるってだけで安心する私は相当、馬鹿なんだと思う。

何分かして、校門の近くに車が停まった。

「ありがとう。」

運転してる人に私はそう言って乗ると、隣に海がいた。

何を話せば良いのか分からなくなったから、一応御礼を言う。

「あぁ。悪いな、遅くなって。」

「繁華街で何してたの?喧嘩?」

「を止めてた。」

流石、と感心して私は窓の外を見る。

明日から夏休みだ。

そればかりが心の奥底に水を溜めるように重くなる。

「今日…終業式だったんだよ。」

何となく海に話しかけた。

「そうか。」
「明日から夏休みになるんだよ。」
「そうか。」
「…うん。」

肯定されすぎて、私は頷いた。



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