Night Large Snake
そんな事も分からず、私はあの男の生死を心配していた。
「こっちの世界には、雨水ちゃんは足を入れないって思ってたのに…こうなったら無理…。」
「時間、もう行くよ。」
茨の言葉を遮るように、亜利哀が動いた。
「あんた達、悪循環を引き起こさないでよね。」
私は無意識の内に俯いていた視線を上げる。
睨み合う、総長同士の姿があった。
よく分からない。
さっきまでは、あんなに意気投合していたのに。
「置いてくよ。」
動き出した亜利哀の三度目の声に、茨が海を睨みながら歩いていく。
“こうなったら無理矢理にでも、こっちの世界から追い出そうか?”
さっきの茨の言葉の続きが聞こえてくる気がした。
私は何もないように、二人に手を振った。
普通に振り返してくれて亜利哀の家の高級車に乗って、消えて行く。