Night Large Snake

何があったのか二人は知っているはず。

「…何があったって、うーが攫われたんでしょう。」

九条さんは答える。

でも、それは私の欲しい答えではなかった。

“私に”何があったかじゃない。

「…暴走族で、何か起こったの?」

「鋭いなぁ。うーちゃんは。」

京はのんびりとした声を出して、ふぅと息を吐いた。

溜め息に似た空気。

「な、何があったの?」

その空気が屋上に広がって、重くなる。

「…乱闘。ケリは早くに付いたけど。」

九条さんは丁寧にゆっくりと教えてくれた。

「本当はうーには内緒でやるよう言われてたんだけどねぇ?」

試すように笑顔を造って言った。




< 273 / 525 >

この作品をシェア

pagetop