Night Large Snake
何があったのか二人は知っているはず。
「…何があったって、うーが攫われたんでしょう。」
九条さんは答える。
でも、それは私の欲しい答えではなかった。
“私に”何があったかじゃない。
「…暴走族で、何か起こったの?」
「鋭いなぁ。うーちゃんは。」
京はのんびりとした声を出して、ふぅと息を吐いた。
溜め息に似た空気。
「な、何があったの?」
その空気が屋上に広がって、重くなる。
「…乱闘。ケリは早くに付いたけど。」
九条さんは丁寧にゆっくりと教えてくれた。
「本当はうーには内緒でやるよう言われてたんだけどねぇ?」
試すように笑顔を造って言った。