Night Large Snake

「欲しいんだろ?」

「…え、ツリー?」

本気で言ってるなんて思わなかった。

「アレ。」

でも、海が指差したのは向こうのブランドショップ。

「言ってない、全く欲しいなんて思ってない。」

歩きだそうとする海にしがみつき、止める。

高いものが欲しいなんて思わない。

私には、海がいてイルミネーションがあれば、充分クリスマス。

繁華街の中は、灯りが多かった。

見慣れた街が一気に変わったように見えて、キョロキョロと辺りを見回す。

その時、海が唐突に言い出した。

「…ホテル、行くか?」

私は足を止めた。



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