Night Large Snake
前のボタンが開けられた時、フラッシュバックが起きた。
ボタンの弾ける音。
茶色の髪。
「や…やだ……。」
口から出た言葉に、海の動きがピタリと止まる。
言ってから、後悔した。
「雨水?」
名前を呼ばれて、目から涙が落ちる。
視界に入った、海の顔。
…酷く、傷付いた顔をしていた。
「大丈夫か。」
すぐに無表情に戻って私のボタンを締め直す。
「ご、ごめんなさい。」
嫌でも何も言わなければ良かった。
そうしたら…海の傷付いた顔を見なかったのに。
「ごめんなさい…。」