Night Large Snake

「なんで謝んだよ。」

そう言って、私を抱きしめてくれる海。

腕の中に引き込まれて速い心臓の音が聞こえる。

いつか見たベタな恋愛小説を思い出した。

病弱な奥さんは子供を産めなくて、それが分かっ旦那さんは違う女の人へいってしまう話。

「大丈夫か?」

頭上から聞こえてくる海の優しい声。

…海もそうかもしれない。

ヤれないから、私を捨てて行ってしまうかもしれない。
朝起きたら…もう隣にはいないかもしれない。

「…ごめんなさい…。」

ただひたすら謝った。

離れていかないで。



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