Night Large Snake
そういう意味じゃない。
「自惚れてしまいそうで…怖いです。」
私が海を変えたんだ、と自惚れそうになる。
そこまで出来た人間じゃないのに。
「怖いと思うより…嬉しいって思っといた方が良い。」
「え?」
「そっちの方が楽。」
窓の外を見て、澤田さんは口を噤んだ。
“そっちの方が楽”
その言葉に甘えてみる事にした。
「早かったな?」
ガチャリと扉が開いて、車に乗り込む二人。
「ちょっとね。」
「九条さん?」
前の席に乗る九条さんを呼ぶ。
「何?」
案の定、九条さんは振り返らなかった。