Night Large Snake

「それとも…。」

九条さんは引かない。

「色んな獲物を掛ける、鬼蜘蛛が良い?」

普段、あまり変わらない亜利哀の表情がピクリとひきつる。

「表に出ましょうか、九条の娘さん?」
「逆恨みなしでいきますか、篠原のお嬢様?」

い…今。
火花が散った、気がする。

私はこの空気をどうにかしなければ、と今更のように気付いた。

二人なら罵りあいどころか、喧嘩までしてしまいそう。

…どっちが強いんだろう?

なんていう野次馬な好奇心を後ろに追いやり、私は棚のチョコレートを取る。

「わ、私。これにしようかな?」

下手な嘘を加えながら。



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