Night Large Snake
…笑えない。
全然、口角が上がってくれない。
「帰らねぇのか。」
海は優しい声で聞く。
「…うん。」
「そうか。」
「…帰って良いよ。」
「いや。」
私の隣に座る音。
そして、私の髪を梳いてくれる。
嬉しい…でも辛い。
真反対の感情がせめぎ合って壊していく。
早く私を嫌いになって欲しい。
そして、近づけないくらいに拒絶して。
「なぁ、昨日、」
海の言葉が携帯の着信音で遮られる。
舌打ちが聞こえて、隣から気配が消えた。
少し膝から上げた顔。
目に映ったのは、誰もいない隣。