Night Large Snake

「…匿(カクマ)ってほしいの。」

誰かに聞かれるかもしれないから、少し小さな声で話す。

『…。』

「ごめん。あの、でも…。」

時間がないみたい。

さっき、石塚さんが出て行った扉に足音が近づく。

九条さんならここで誰のものかを当てられるのだろうけれど、私には不可能。

『雨水、今どこにいるの?』

「石塚さんっていう人の…家?」

『あぁ…あの闇医者。
近くにある窓から出て繁華街の反対側に走って。ふたつ目の曲がり角で待ってること。」

…闇医者!?

その言葉に驚いて、亜利哀の言葉を忘れないように頭に刻み込んだ。



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