Night Large Snake
畳に視線を落とす。
「呼びに来た人いたでしょう?あの人が近づいたのが聞こえたのか、ちょっとだけ顔が引きつった気が…した気が…。」
あんまり自信はない。
ただの推測にすぎないし私の見間違いかもしれない。
「お前って…よく分かるな、そういうの。」
感心したように海は言葉を吐き出すから、
「分かんない。そうじゃないかもしれない。」
「九条が言ってた。
自分は『家鴨』だって。」
あ…アヒル?
田んぼにいるアヒル?
「確かに家を継ぎたい気持ちもある。でも──
それ以上に囲われてる感覚があるっつってたな。」