Night Large Snake
Second home.
思うなら、喚く事くらいは出来たんじゃないかと思う。
片手は空いてるから、携帯で110番に通報して「助けて下さい。悪い人に捕まりました」と言えたはずで。
車に無理矢理乗せられた事に抵抗を持ってる訳で、別に攫われる事に抵抗を持ってる訳じゃない。
「…私、1人で帰るって言った。」
「俺は聞いてない。」
それはそうかもしれないけれど。
あんなタイミング良く校門の前にいるなんて、おかしいと思わない方がおかしい。
多分、京から連絡でも入ったんだろう。
「家までか?」
「…その上から言うような口調、変えられないの?」
私は海を見た。
金髪に整った横顔がこっちを向く。
手首はまだ離されないまま。
「無理だ。家に人いるのか?」
「あと、手首離して。」