Night Large Snake

陸のお墓の前には、花束が置いてあって。

お母さん達だ。

「…来て、くれてたんだ。」

目の奥がじんわりと熱くなって、体が震える。

その花束は比較的新しくて、陸の命日に来てくれていたのかもしれない。

どっちか、なんて選べない。

沢山の花に囲まれた陸のお墓は、ここら辺では一番目立っているんじゃないかと思う。

「両親か?」

海の言葉に頷いた。

「良かったな。」

その言葉にもっと深く頷いた。

「覚えてくれてた…。」

いつもは黙ってるだけだけど、海は「ん。」と返事をしてくれた。



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