Night Large Snake

大人数の足音も声も聞こえなかった。

さすがにお腹が空いたので、諭吉さんとカバンを持って静かに扉を開く。

誰もいなくなった家は、来た時と同じ静けさを纏っていた。

玄関まで来て気づく。

「…鍵ない。」

ここを鍵なしで出て行って良いものなのか考えた。

けれど空腹に耐えられそうにない私は、「泥棒が入りませんように」と手を合わせて扉から出た。

近くのコンビニっていうのは、家の裏の通りにあって本当に近くだった。

おにぎりを二個買って、早足で溜まり場に帰った。

さすがに短時間でこの家に泥棒に入る馬鹿はいないようで、また二階にあがった。

二階にリビングがあるなんて不思議、と感じたけど気にしない。

諭吉さんのお釣りをガラステーブルの上に置いて私はおにぎりにかじりついた。



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