Night Large Snake

家まで、歩いて送ってくれた。

「ありがとう。」

笑顔で言うと、

「あぁ。」

と短く返事が返ってきた。

「…あのさ。」

私は言い出す。

ちゃんと言うんだ。

「明日、送り迎え良いから。学校行かない。」

笑顔のまま、言った。

海の整った眉毛が、少しだけつり上がった気がする。

「理由は?」

「えっと、家族で旅行に行く。」

「…わかった。」

分かってくれた。

私は海が歩き出したのと同時に家に入る。

暗闇と静寂が、一気に私を覆い尽くした。




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