Night Large Snake
それでも流れる涙は、海のパーカーに吸い込まれていく。
優しく、海は私の右手首に触れる。
上目遣い気味に見たら、体に巻き付けられていた片方の腕に力がこもる。
包帯、置いて来ちゃったのかな?
「…二回。」
言われたその回数に、ピクリと肩が反応する。
「……バスタブ分のお湯を二回も無駄にしたの。」
無意識に話す。
人の体温が近くにあるせいか、眠くて夢の中に半分足を踏み込む。
「…真紅が広がって、死ぬんじゃないかって思った。」
死ぬ覚悟なんてさらさらない癖に。
二回って判断できた海は多分、私が死ぬ覚悟が出来なかったのはわかるんだと思う。