続!イジワル王子とお姫様
「そんな、悪いよ」


それにね、杏もクラブでいないし。待ってもらっても、ふたりきりで帰るのは……ちょっと。


チラッとうしろを振り返ると、ウチの学校の女子がこっちをジッっと見ていて、


ナツキくんと私の会話を聞いている風だった。


……怖ぁ。


思わず杏を見ると、私の肩をグッと押して、ネットに顔を近づけさせられた!


ひっ……ひゃぁ! 杏、なんてコトを!! ナツキくんの顔が、目の前にあるーっ!!


ネット越しだけど、かなりの迫力……。近すぎて、ネットは目に入らない。見えるのは、ナツキくんのクールな目元だけ。


ナツキくんは焦るでもなく、「耳貸して」って、小さい声でつぶやいた。


耳っ? この際、横向いた方がハズかしくないよね。


多分真っ赤であろう顔を両手で隠し、ぎこちない動きでクルリと横を向いた。


そして……ネットにそっと耳をあてた。



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