音を奏でるとき
────数十分後。
「はぁ、綺麗になったねー」
額から垂れてくる汗を拭いながら、出来上がった練習ステージを眺める。
「と、ゆーことでとりあえず今日は終わりにしようよ。あ、椎夏ちゃんも食べる?」
ドラム担当、笠原俊哉<カサハラシュンヤ>は手に持っているお菓子の袋を差し出した。
「わーっおいしそー。ありがと」
この数十分の間にすっかり仲良くなったようだ。
「ねぇねぇ椎夏ちゃん!!椎夏ちゃんはなんか弾けるの?」
ギター担当の田淵弘人<タブチヒロト>は身を乗り出して俊哉のお菓子をほお張りながら聞いた。