音を奏でるとき
それからまた数日が経ったある日。
「あ、拓実」
音楽室で俊哉が新しい曲選びをしていると、ひょっこり拓実がきた。
「よお」
「お前授業もサボってたろ?」
拓実は椅子に座りながらいう。
「風邪ひいて休んでた」
「ウソつけ。
しばらく弾いてなかった分取り戻そうとしてたんだろ?」
俊哉は拓実の左手を見ながら言った。
「バレた?」
拓実はニカッと笑う。
「で、あの女は?」
「弘人と買い出し行ってる」
「ふーん」