私の名前も呼んで
今朝も良くんと道端で会って、たわいもないお喋りをしていた。
「そーいえば、良くんは何犬を飼ってるの?」
「あれー。言ってなかったっけ? トイプードルの…」
と言いかけたその時、遮るように"ワンワン!!"犬の鳴き声と…
「良!」と言う男性の声が…
えっ… この声って。
えっ? えっ? さくらの…
振り向くと、ずっと会いたかった彼が立っていた。
「桜ちゃん…」
彼の顔は引きつっている。
「アニキ?」
えっ? 良くんのお兄さんなの? 私は状況がよくつかめてなかった。
足元では、コタとさくらが、久々の再会にジャレ喜んでいる。
「悪いけど、良には渡せない。桜ちゃんはオレのだから」
彼は私の手を引いて歩き出そうとした。
「ちょっと待てよ。アニキ!!」 良くんは何か言い掛けたけど、私の顔を見て言うのを止めた。
"会いたかった"私は気持ちが押さえきれずに、
そう私はポロポロと泣いていたんだ。