私の名前も呼んで
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彼に手を…、
リードを持っている手と反対の手を繋がれ、少し離れた所まで連れて来られた。
私は、ずっとずっと会いたかった彼に会えた嬉しさと、良くんのお兄さんだった事、そして今の状況に訳が分からず、涙を浮かべながらも彼の行動に従っていた。
ドキドキ
ドキドキ…
彼は立ち止まると私の方に向き直って
「無理矢理ごめん。良と仲良く話している姿を見たら押さえられなかった。ホントごめん」
「オレ、あの日から桜ちゃんに会えなくて、自分の気持ちにちゃんと気付いたんだ」
「オレ、23のおじさんだけど、桜ちゃんの事が好きなんだ」
「オレと付き合って?」
え? 夢? な、何が起きてるの? 私の思考回路はショート寸前。
でも、会いたかった彼が目の前にいる。
大好きな彼が目の前に。
私はポロポロ涙を流しながら、「はい…」と返事するのが精一杯で。
彼は私の手をギュッと握りしめて、
「ありがとう」
満面の笑みで私を見つめたんだ。