約束 〜promise〜


シャワーから上がると、先に作っておいたサラダがテーブルに並べられていた。






「おう、おはよ」

「おはようございます…」






パンをトースターに準備していた、寝癖MAXや若井さんが振り返った。




仕草は爽やかで完ぺきなのに、寝癖のギャップがたまらない。






「ぷ、寝癖が…」

「ああ、あとでシャワーするからいーや」






めんどくさそうに頭をぽりぽりすると、椅子に座って大あくびをしている。





あたしは、残りのパンをセットして沸いたばかりのお湯でコーヒーを入れた。






こんなありふれた日常が、幸せ、なのかも

なんてしみじみ実感する。



















仲良く朝食を食べた後、一度自分の家に帰って、また明日のデートで若井さんと会うことになった。






「送ってやれないけど、気をつけて」

「うん、しょうがないよ…、





その寝癖じゃ(笑)」






玄関先で、さむいさむいと連呼する寝癖つきの若井さんに、あたしは笑いを我慢できずに吹き出してしまった。






「んだよ、笑うなよ」

「ごめんなさ〜い」






こつんと頭を小突くマネをすると、今度は優しくキスをくれた。






「…じゃあ、明日の12時くらいにまた迎えに行くよ」

「…はい、了解です」

「じゃあな?」






ドアを開けてくれて、もう片方の手で頭を撫でられる。




別れが惜しいくらいに甘い空気が流れる






「またね、孝太、さん!」






だけど、あたしはそういうと言い逃げのごとく、若井さんのマンションを後にした。







< 13 / 20 >

この作品をシェア

pagetop