約束 〜promise〜
シャワーから上がると、先に作っておいたサラダがテーブルに並べられていた。
「おう、おはよ」
「おはようございます…」
パンをトースターに準備していた、寝癖MAXや若井さんが振り返った。
仕草は爽やかで完ぺきなのに、寝癖のギャップがたまらない。
「ぷ、寝癖が…」
「ああ、あとでシャワーするからいーや」
めんどくさそうに頭をぽりぽりすると、椅子に座って大あくびをしている。
あたしは、残りのパンをセットして沸いたばかりのお湯でコーヒーを入れた。
こんなありふれた日常が、幸せ、なのかも
なんてしみじみ実感する。
仲良く朝食を食べた後、一度自分の家に帰って、また明日のデートで若井さんと会うことになった。
「送ってやれないけど、気をつけて」
「うん、しょうがないよ…、
その寝癖じゃ(笑)」
玄関先で、さむいさむいと連呼する寝癖つきの若井さんに、あたしは笑いを我慢できずに吹き出してしまった。
「んだよ、笑うなよ」
「ごめんなさ〜い」
こつんと頭を小突くマネをすると、今度は優しくキスをくれた。
「…じゃあ、明日の12時くらいにまた迎えに行くよ」
「…はい、了解です」
「じゃあな?」
ドアを開けてくれて、もう片方の手で頭を撫でられる。
別れが惜しいくらいに甘い空気が流れる
「またね、孝太、さん!」
だけど、あたしはそういうと言い逃げのごとく、若井さんのマンションを後にした。