約束 〜promise〜
平凡OL vs トップ選手
選手が入場しているのが、すぐ下に見える。
あ!とか、やべ!でっけー、とか興奮しまくりの若井さん。
あたしも目で追うけど、誰が誰だか全くわからない。
最後の1人が遅れて出てきた。
あたしたち側のサポーターが、大きな歓声をあげる。
"MISHIMA 9"
背中にはっきりとそうプリントされていた。
「このフォワード、決めてくれるんだよなー」
「へえ〜、すごいんだ?」
「すごいも何も…」
若井さんの熱弁が始まったけど、あたしの意識は完全にピッチ上の1人にしか向いていない。
まさか、まさかそんなことないよね。
ううん、ありえるないよ。
"MISHIMA"、に思い当たる節があった。
親同士が仲良くて、小さい頃よく遊んでいた幼なじみの名前は、三島栄次。
同い年のあたしたちは、いつも一緒だったし、夏になれば海でバーベキュー、冬にはスキーが恒例、旅行にも毎年行っていた。
だけど、中学進学を機に別々の学校に進学して以来、もうずっと会っていない。
でもなぜ、今ごろ栄次のことを思い出したかっていうと
栄次はサッカー一筋の、サッカー馬鹿だったから。
曖昧な記憶によると、中学も高校も、サッカーが有名なところに通っていた気がする。
よくお母さんが言っていたけど、あんまり気に留めていなかった。