約束 〜promise〜
「…おい?香苗?聞いてた?」
「えっ、あ、うん!」
「そ?まあいーけど」
ふと我にかえる。
ほんとに栄次なんだろうか。
でももしそうだったとしても、最後に会ったのはもう何年も前で
栄次はきってあたしのことなんて、忘れてしまっているだろう。
ピッチの真ん中に一列に並んだ選手たち。
一番端でうつむいていた、"MISHIMA"が顔をあげた。
栄次、だ…
黒く日焼けした肌に、鍛えられた体、前をじっと見つめる鋭い視線。
そこに立っているのは、プロのサッカー選手そのものだった。
だけど、その表情にはどこかあの頃の面影が確かに残っていて、ひと目で栄次だと確信した。
「うっそだぁ…」
思わず呟いたしまったけど、サポーターの大歓声にかき消された。
ほんとに、あの栄次が…