約束 〜promise〜
素人のあたしが見ても分かるほど、栄次の動きは抜きん出ていた。
「あああああっ!」
栄次は相手からボールを奪うと、ドリブルで駆け上がり、そのままシュート。
しかし、ボールは惜しくもキーパーに阻まれてしまった。
「ちっ、惜しかったんだけどなー」
悔しがる若井さんの隣で、あたしは落ち着かない心のまま、気付くと栄次ばかりを目で追っていた。
「なんか熱くなりすぎたな、ごめんな?」
「っううん!全然!」
「楽しくないか?」
申し訳なさそうな若井さん。
「あんまりにも広くて、目が追い付かないだけだから!ね!」
なんとか話しに答えたけど、あたしの意識は栄次に向けられたまま。
もうずっと心臓がドキドキしっぱなし。
ピッチを走り回る栄次は、男らしさを増していて、別人のよう。
なんだろ、
心が…