約束 〜promise〜

「久しぶりにデート、行きたいな」






あたしたちは、付き合ってからというもの

デートらしいデートというのを、ほとんどしたことがない。

なんでって言われると、なんていうか…

仕事柄、休日出勤もザラじゃない若井さんだけに、デート中に呼び出しとかはよくあるし

お互いインドア派だからたまの休みは家でごろごろして過ごしたりとか、あまり外には出ない。

その分、家に居るときはものすごく濃厚に迫られるんだけど…






「デートねえ、デートか」

「そう、デート」






枝豆をぷちぷち頬張りながら、考え込んでいる若井さん。






「あっ、」

「ん!?」






すると、何かを思い出したように声をあげて、かばんをあさりだした。




何?サプライズ!?






「これこれ、水沢に貰ったんだった」

「なに、これ?」






映画のチケットみたいな紙が2枚、その手に現れた。

ちなみに水沢、とは若井さんがかわいがってる後輩で、あたしの5個上の先輩。





「サッカーのチケット〜、今週の日曜だった!」

「サッカー?」






インドア派の若井さん唯一のアウトドアな趣味が、サッカー。

学生時代はサッカー部で日々部活に明け暮れていたそう。

貰った、って言ってるけど、きっと無理やりとらせたんだろう。






「やべ、忘れてたわ」

「あたしと行こうと思ってたの?」

「当たり前だろ、じゃなきゃ無理いって水沢に頼む…」






ほら、やっぱりね






「貰ったとか嘘なんだ?」

「違う、って…、あー、いっちゃった」






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