泣かない理由
蒼の部屋のチャイムを鳴らすと、寝癖の付いた髪の蒼が、玄関を開けてくれた。

朝ご飯の支度は、私の役目。

目が開ききってない蒼の前に、少し焦げた目玉焼きとトーストを出すと、無言で蒼がかじりついた。

「しっかし、いつもチマの作る目玉焼きは焦げてるな」

「どーせ蒼と違って料理は苦手ですよ〜だ」

私はそもそも不器用なのだ。

特技といえるのは、武力行使…くらいかな?

蒼へのイジメに対抗すべく鍛えたら、意外と向いていたので週一で、いまだに空手教室に通ってたりする。

『ちんまりしてるくせに、あんたって武道派よね…』としみじみ語られた事すらある。

私は身長150有るか無いかくらい。だから、名前と相まって、あだ名は"チマ"が定番だ。

因みに、蒼は180超えていて、高校時代はよく凸凹コンビと言われた。
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