泣かない理由
最初は、同じクラスに一人だけ浮いてる人が居るなと思っただけだった。

子供っぽさが抜けきらない、同級生達の中にいて、清冽で媚びない孤高の賢者のような彼は、異質であったのだ。

彼の、内なる孤独と気高い、世界に一匹だけの獣のような雰囲気に、私は惹かれた。

しかし、級友達には、彼の態度はうとまれた。

初めは、猫がじゃれるような、そんなイジメともなんとも言えないような行為であった。

それを何事も無かったかのように飄々と受け流す態度に、級友達の行為は、見る間にエスカレートしていった。
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