泣かない理由
青い月明かりと、街灯のひかり。

ぼんやりと青みがかった夜の桜は、昼より幻想的な色。

蒼と二人、声も無く桜に見入る。

ふらりと、引き寄せられるように、蒼のそばを離れ、桜に近付く。

「ち、チマ…」

蒼が突然、焦ったような声を上げ、私の手を引っ張った。
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