泣かない理由
私は最初、傍観していた。

私には、彼を助ける事は出来ないと思っていた。

誰かが彼を助けるだろうと。

しかし、段々彼が休みがちになって、出席日数が卒業に影響するようになっても、誰も彼に手をかさなかった。

私は…私は、彼と友達になるには今しかないと、そんな打算的な思いで彼に近づいた。

今、彼が弱っている時でなければ、彼と近しくなる事が出来ない、そんな卑怯な私に、彼は少しずつ依存するようになっていった。

寂しさ故に。
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