泣かない理由
二人目には気付かれ、蹴りを腕でガードされた。

私は距離をとり、肩幅に足を開いて、拳を握り、ふーっと息を吐く。

「なんだよ、お前」

妙にカンに障る、甲高い声。

眉をひそめ、睨みつけるが、私の小さな背丈では、あまり迫力が無い。

案の定、男の声に侮りの色が混ざる。

「なんだ、ちっちゃい女の子だな。あんたも遊んでもらいたいワケ?」
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