君に捧ぐ‥
始まり…そして終わり。
シアワセナトキ
あたしたちは、キスをした後なんだか気まずくなって、何も話さず帰った。
でも、車で家まで送っていってくれた。
「…あ、そこ右……」
「ん。」
会話といえば、これくらい。
それでも、なんだか心地よかった
「ここ…送ってくれて、ありがと。」
離れたくない。
もうちょっと一緒にいたいよ…
そう言いたかったけど、恥ずかしいし、面倒な女だと思われたくなかったから、我慢した。
「じゃあね。」
そう言って、家に帰ろうとすると、腕を捕まれた。
「えっ……?」
「……あのさ、雛って…呼んでも、いいか?」
ドキン…
恥ずかしそうに。
でも、不安げな表情で凪ちゃんは言った。
「うん、いいよ…」
「ありがと。じゃあまた明日、雛。」
にこっと笑い、凪ちゃんはあたしの手にキスをした。
「……っ……」
あたしは、車が見えなくなるまで凪ちゃんを見送った。
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