君に捧ぐ‥



「じゃああたし、HARU歌うーっ」




「いけっ、雛ーっ♪」



あたしが歌うのは、今人気のHARUっていうアーティストの、失恋ソング。



♪〜♪〜


『あなたしか見えない
あたしにはあなたしかいないの


それなのに、どうして?
あなたが見てるのはあたしじゃないの




どんなに願っても叶わない思い
それならいっそ消えてしまえばいいのに



でもきっとダメだね
あたしは何回でもあなたに恋をする
そしてきっと何回も傷つく



ねえ100回傷ついたら
101回目はもしかしたら
HAPPY ENDかな』―――…




「うぅ……ひっく…」



「雛……」




失恋ソングなんて歌うんじゃなかった。

こんなにも、感情移入してしまう



こんなの、今のあたしの気持ちとほぼ一緒じゃん…





「うっ……うぁーんっ」



今頃二人はきっと……




「雛、大丈夫だよ…あたしは、雛が一番だからね?」




凪ちゃん。凪ちゃん。


好きで、好きで仕方ない人。



あたしは、凪ちゃんに出会えて…つき合えて。

とっても幸せでした。



あたしはまだ、あなたのことを諦めることは出来そうにありません。

でも、気持ちは絶対に表に出さないから。

凪ちゃんに迷惑かけるようなこと、しないから。




ただ、凪ちゃんとの幸せな思いでだけは、あたしの中に留めておくこと、許して下さい。





あなたにあえて、恋をして、傷ついて。


辛かったけど、幸せでした。



凪ちゃんは、あたしと出会い、恋をしたことに、少しでも幸せを感じていてくれましたか?



バイバイ、
世界で一番好きな人…










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