君に捧ぐ‥
凪side*〜
――――…
「沙帆……」
「凪…来てくれたんだ。」
今日はクリスマスイブ。
俺は沙帆と待ち合わせた場所にいた。
「約束、したし。予定空いちゃったしな!」
アハハと笑ってみせるが、ちゃんと笑えてないのか、沙帆の顔は苦笑いだった。
本当は、沙帆の用事を済ませてから雛と会うつもりだったんだ。
でも、言うつもりがなかったってことは、浮気…ってことだよな。
「凪?どうしたの、ボーッとして。」
「あっ、いや、わりぃ……んで、話は?」
「うん……あたし、やっぱり凪が好き。都合がいいって、わかってるの!凪のお父さんに脅されて……好きなのに、別れてしまったこと、すごく後悔してるの。あたしと、もう一度やり直して下さい。」
「……」
沙帆は、綺麗だ。
おまけに優しくて、気が利いて…
なにより、俺がずっと忘れられなかった人だ。
「凪、あたし引っ越すの。ちょっと重い病気にかかっててね、今よりもっといい病院に移らなきゃいけないの…。離れる前に、凪とやり直したい。お願い……」
ギュッ
沙帆は、俺に抱きついた
俺には、断る理由がない。
そっと、沙帆の背中に手を回した
ふわっ……
「……あ…」
バッ
俺は、沙帆を突き飛ばした。
「……凪…?」
“匂いが、違う”―…
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