君に捧ぐ‥
――――…
沙帆の家の近くについた。
「先生、楽しかった。ありがと…」
「……先生って、言うなよ…」
俺は、助手席に乗る沙帆を抱きしめた。
「だって、先生でしょ…?」
「………」
「自分の彼氏だ。って、友達にも紹介できない!!凪が先生っていうだけで!!」
「うん…」
「あたしたち、いけないことしてるの?好きな人って、選ばなきゃいけないの?」
沙帆を抱きしめている俺の肩に、あたたかいものが滲む。
「沙帆……」
俺は、強く強く、沙帆を抱きしめた。
壊れるほど、強く。
「早く大人になろうな…」
教師と生徒の壁を、痛いほどに理解した、一年の終わりだった。
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