君に捧ぐ‥



――――…




「沙帆ーっ♪」



教室から聞こえる、沙帆とその友達の、楽しそうな声。




俺の前では、そんな風に笑わないのにな―…





「沙帆まじサイコー♪」


「沙帆といるとホント楽しいわ♪」




沙帆は、俺が人前ではかまわなくなってから、みんなに好かれるようになった。



沙帆の周りには人がいて、笑い声が絶えない。




とても嬉しいことなのに、素直に喜べない自分がいる。



沙帆の周りにいる男はおろか、女にまでも嫉妬してしまっている。




沙帆を独占したい。



俺だけ見ててほしい。




― 俺だけのモノにならないなら、沙帆を壊したい…



最近、そんなようなことばかり思うようになった。




こんな俺は、狂ってるんだろうか…










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