君に捧ぐ‥
「…でてこねぇなあ。」
俺とタクヤは、カラオケの前で待ち伏せしていた。
「もう22時だぜ?いないんだよ…諦めようぜ。」
俺たちは、かれこれ三時間待ち続けている。
「あ……」
「ん?どうした?」
「しっ!!誰か出てきた…あれじゃねぇの!?…って、いくらなんでも若すぎか。」
「……沙帆………」
「え?まさか、あの中にいんのか?」
タクヤの言葉なんか、俺の頭になかった。
あるのは、沙帆と…その隣にいる、男。
沙帆は、楽しそうに笑っている。
「凪、まさかおまえ…生徒と…」
「………」
クリスマスに、彼氏を放っておいてほかの男といるってことは……
浮気
だよな?
「俺…とっくに嫌われてたのか……?」
「凪おまえっ……」
情けないけど、親友のタクヤの前で恥ずかしいけど…
涙がでた。
俺の一方通行の想いだったんだっとことが、悲しくて。
好きだったんだ。
ただ、沙帆のことが……
「凪……」
タクヤが、心配そうに俺の顔をのぞき込む。
ごめん、タクヤ…
困ってるよな。
でも俺、こんな状況で笑えねぇよ……
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