君に捧ぐ‥
「………っおい!!」
タクヤが、急に立ち上がり、沙帆たちの方へ走っていった。
「タクヤっ!?」
俺は焦って、タクヤの後に続いてしまった。
「おまえ!!俺の親友泣かしてんじゃねーよ!!浮気とか、最低だな!」
「ちょ…タクヤ!!」
「え…凪!?」
「あ………」
沙帆が、驚いたように俺を見る。
「こいつ誰?凪って…」
沙帆の隣のヤツが、沙帆に聞く。
「あ、えっと……いとこ!!いとこのナギヒコくんだよ!」
ズキン‥
やっぱり、彼氏として紹介してくれねぇんだ…
俺は、待ち伏せするために被っていたキャップを、もう一度深くかぶりなおした。
沙帆に、泣き顔を見られないように。
「…今まで、ありがとう。俺に付き合ってくれて…楽しかったわ。ごめんな、無理矢理付き合わせて。じゃ…バイバイ。」
俺はそう言い、
沙帆の前から走り去っていった。
「凪!?」
じゃあな…沙帆。
隣の男に、幸せにしてもらえよ?
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