君に捧ぐ‥
「おはようございます…」
俺は、恐る恐る職員室へ入った。
「春風先生…」
一人の先生が、俺の名前を呼ぶ。
すると、一斉に全員が俺の方に振り返る。
「ど、どうも……」
ビクビクしながら、席につこうとすると…
「春風先生、話があります。こちらへ来てください。」
教頭先生の、冷たい声―…
さっきまでの、俺を心配するような表情はどこにもない。
感情のない顔。
俺は、そんな表情の教頭先生に、“恐怖”を覚えた。
「なん、ですか…」
無意識の内に、声が震える。
「今朝、生徒からこんな情報がありました。証拠はないので、違うのなら違うと、否定してもかまいません。」
いつもの、丁寧な口調。
でも、違う。
前は、感情がこもってないと感じるけど、どこか優しさがあった。
今は、“冷たい”―…
ただ、それだけ。
それだけしか、感じ取ることができない。
何も答えない俺に痺れを切らして、教頭は俺に告げた。
「あなたは、この学校の生徒、白石沙帆と恋愛関係を持っているのですか?」
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