君に捧ぐ‥



「…凪。」


ビクッ



情けない…
俺は父さんの威圧感にビビっている。

どうしようもなく弱い俺。



「おまえは、弁護士の息子なんだ。それがなんだ?教え子に恋をするなんて!!」


好きになる相手を、選ばなくちゃいけないのかよっ…



「おまえは、私の汚点だ!!」


そう言われた瞬間、俺の中でプツンとなにかが切れた。




「ふざけんなあっ!!!!」



今まで反抗などしたことのない俺に、父さんは驚いていた。




「俺は…っ俺は!」


熱くなったと思ったら、すぐに消えて。
そしたら、涙に変わってでてきた。



「ただ沙帆が…っ、」



涙があふれて止まらない。


この先の言葉は、言ってはいけないような気がした。
でも、言わないと後悔するような気がした。




「ずきなだけなんだっ…!」



涙でうまく言葉が出なかった。


でも、そんなことさえ気にならないほど、俺の頭は沙帆のことでいっぱいだったんだ。




「この気持ちを…っ否定される筋合いはないっ!!」










.
< 80 / 179 >

この作品をシェア

pagetop