君に捧ぐ‥
「嘘つくなよっ!俺のことなんか考えなくてもいいからっ…」
「嘘じゃないから。あたしが自分から退学しますって言ったの。言いたいことはそれだけ。じゃあね。」
嘘に決まってんじゃねーか…
だって、だって…!
「じゃあなんで泣いてんだよっ」
「…っ!!」
沙帆は、一瞬反応したが、すぐに俺に背を向けて去ってしまった。
「泣くくらい悲しいなら、俺のせいだって言えよ!自分は関係ないって言えよ!じゃないと俺はっ…」
俺は…
「俺は、どうすればいいんだよ……」
自分でもビックリするくらい、弱々しい声が出た。
「行くなよ……」
俺の“独り言”だけが、もう誰もいない廊下に響いた。
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