社長と私


考え込んでいると、そそくさとベッドに潜り込む彼に慌てて一緒に布団に入る。


背中を向けられ少し寂しくなり、その背中にピッタリ引っ付いて眠りについた。
不思議とぐっすり眠れた日だった。


朝、いい匂いで目が醒める。
布団から起き上がると、ソファでコーヒーを飲みながらパソコンを打つ彼と目が合う。


「おはよう」

声をかけると、

「あぁ……起きたか。」

と返してきた。

「俺はあと1時間したら出社するけどお前どうするんだ。」

「え……一緒に出るよ。」

そうか、と言いながらカタカタパソコンを打つ。

朝になったら他人。
ここまで会えなくなるのが嫌だなんて思った事初めてだった。

だけど絶対にそれは許してくれないだろう。

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