社長と私
私だって、二ヶ月前。
二ヶ月前まではこんなのとは無縁だった。
1人の人しか見えなくて、遊ぶ事も減って、家政婦みたいになっていた。
突然別れを告げられて、意味も分からないまま放り出された。
虚しくなってきて、段々酔いも冷めてきた。
バタンっという音に顔を上げると、風呂から出てきた彼が私を見て顔をしかめた。
「なんだ、まだ寝てないのか。」
「…寝れないの。」
隣のベッドに腰掛けて、そんなに酔っ払ってるのにか?と少し笑った。
穏やかに笑う人だと思った。