甘恋綺譚〜幼なじみは王子様〜
美弥子は、カルボナーラにチーズケーキのセット。
……全体的に黄色くない?
それに、太りそう。
喉まで出かかっているその台詞をやっとのことで飲み込んだ。
一息大きく吸い込んで、
『明太子のクリームパスタ。セットはサラダで、デザートはいらない』
そう店員に告げる。
店員は見たところ、私達と同年代の男子。
……そういえば、顎のラインが似てるかも。
「……あの、お客様」
店員の台詞に純ははっと我に返った。
「すみません、なんでもないです」
毎晩、鏡の前で練習している、とっておきの微笑み。
店員は少し顔を赤らめて、厨房へと戻っていった。