溺愛窒息Kiss
朝の部活の人以外、ほとんど生徒は来ていない。
憂のクラスの下駄箱を見ると、憂の靴があった。
やっぱ早めに来たんだ……
なんかヘコむ。
俺も靴を上履きに履き変えて、教室へ向かった。
どうやら自分のクラスでは俺が一番みたいだ。
俺は教室に入ることなくそのままスルーし、憂の教室に向かった。
どうやら憂のクラスも憂が一番らしく、窓際の席でぼーっと外を見ていた。
「おい」
俺が呼ぶと、びくっと肩を上げたあと、ゆっくりこちらを振り向いた。
「……亮」
一瞬驚いた顔をしたが、すぐいつもの顔に戻った。
「なんで電話に出ない?」
「忙しかったから」
「なんでメールに返事しない?」
「……忙しかったから」
んだよそれ……
「だったら、なんで昨日先帰って今日先に学校来た?」
憂は戸惑いながら
「別に……ただの気まぐれ」
「……んだよそれ。意味わかんね……」
「意味わかんないのはこっちよ」
今まで頬杖ついていたのをやめ、険しい顔で憂が言った。