溺愛窒息Kiss
「なんかあったの?」
俺が『女心』というワードを出したのがそんなにおかしかったのか、逞は尋ねてきた。
「別に……」
「嘘だぁ!!」
うるせー……
「嘘じゃねーし」
「ふーん……どーでもいいけどさ、あんま溜め込むなよー。俺親友なんだから」
「頼りないけどな」
俺がそう言うと『なんだとー!』とかごちゃごちゃ言ってるけど、無視。
まぁ、気持ちは素直に嬉しいけど。
俺はその後も憂のことを考えてた。
『あたしなんかどうでもいいくせに……』
憂のあんな言葉、聞いたことなかった。
昔からなんでも言うタイプだったけど、自分のことは何一つ言わない。
それが憂だったから、憂はそういう人、で俺の中で定着してた。
でもあの時言った言葉と表情。
感情も、顔に出さないタイプ。
なのに、あの悲しそうな顔が、
頭から離れなかった。