夢〜明日への奇跡〜(実話)
控室で待機していると
ドアをノックする音がした
…トントン…

振り返るとそこには車椅子に乗り点滴をしたままの
和実がいた。

『麗奈…びっくりしたよ』
『和実…』

私はドレスの裾を持ち上げゆっくり和実のそばに歩み寄った。

『麗奈…凄く綺麗だ…最高だよ』

『和実…ありがとう。。びっくりしたでしょう?』

『そりゃあ…びっくりしたさ。外出許可が出たから散歩に行こうって言われて連れ出されたのはいいけどあの夜景の場所付近に来た時は、何かあるなって思ったな。それにお袋がやけに厚化粧だったからな(笑)』

『お母さんが結婚式計画してくれたのよ。和実最近調子良さそうだったからね』
『和実も早く着替えて。和実の友達や祥子達みんな待ってるんだよ』

『…俺が病気なんかしなければ…当たり前の結婚式出来たのに…麗奈…すまない許してくれ…』

和実は声を殺して泣いた。そして私を抱きしめてくれた。手は点滴のあとの内出血だらけで初めて抱きしめられた時のような力強さはなくなっていたが
いつもと変わらない和実の温もりがした。
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