夢〜明日への奇跡〜(実話)
『和実!!しっかりして!』

病室に入ると沢山の人が和実を囲み そう叫んでいた。


『和実…夢花よ…ちゃんと目を開けて見てよ…あんなに会いたがってたじゃないパパだよって言ってよ』

私は泣きながら眠っている夢花を和実のそばに寝かせた。

『ゆ…か…』

和実は小さな小さな声で確かにそう言った。

夢花の小さな手が和実の頬に触れたとき和実はうっすらと目をあけた…。

『和実!私よ!分かる?麗奈よ!ほら夢花もいるわよ!ちゃんと目開けてよー!!』

和実はゆっくり頷いた。

和実は酸素マスクを外し

『俺が麗奈より先に夢花を見たかったな…麗奈幸せをありがとう。ずっとお前達のそばにいるからな…麗奈泣かないでくれよ。お前の笑顔が大好きなんだ…』


『ピーーーーッ』


和実は夢花と私の手を握りながら
眠るように息をひきとった。


『嫌ーーーーーーっ!!』


『和実!目を覚ましてよ!お願い!』


私は冷たくなった和実に何度も何度もキスをした。


みんな泣いている中
夢花だけが無邪気に笑っていた。


【お前たちのそばにずっといるから…】

これが…和実の最期の言葉だった。


余命を宣告されてから
約半年…。
和実は必死に闘った。


最期まで素敵な笑顔だったまるで眠っているようだった。


和実辛かったでしょう?
痛かったでしょう?

もう大丈夫だから
安らかに
眠ってね…。
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